赤い涙


花から生まれる人間なんて有り得ないけど。

2010年 地球が死ぬ寸前のとき
自分の 我が身を滅ぼす思いで人類はビルを崩した。
灰色で やたら高く聳え立つビルを全て崩して壊して 無かったことにした。
そうして人類は 枯れない花を作った。「自然を増やそう」と 今更 本気になった。
色んな品種を重ねて色んな薬を使って色々試して やっと 枯れない花を作った。
急いでその花を世界中に植えて増やした。

人類は何故だか 花から出る気体を吸って沢山死んだ。
灰色のビルを急いで壊して その欠片で枯れない花をやっと作った。急いで、植えた。
灰色いビルから生まれた真っ赤な花に 生きるために作った花に殺された。

灰色いビルから生まれた真っ赤な花は絶えず増えつづけて 遂に空までも 真っ赤に染めた。

その 赤い街にタビビトがやってきた。
色んなまちの色んな人と会って学んで 自分を大きくするために旅をするタビビト。
大きいリュックをひとつ背負って 旅したまちの別れを惜しむ人達から貰ったプレゼントを両手に抱えて。
赤い町に タビビトがやってきた。
「何…これ。」

「あか…」
灰色のコンクリートの残骸に、真っ赤な花と真っ赤な空
「ひと…いない。…死んだの…」
赤い花は気体を出す。人が死ぬはずの気体。
その気体は赤黒い色をしていた。
「お前達が ひとを殺したの?」
気体を出しつづける花に歩み寄るタビビト。
花に、話しかける。色んな言葉を。
「あぁ…違ったね、ごめんね。 ひとは お前達を殺したんだよね…」
「ごめんね、本当に怖かったよね。どんどん仲間が無くなってってさ」
「もう、遅いよね…ほんとにごめんね」
「こんなにきれいな赤なのに」
「空もお前達の味方だよ」
「もう泣かないでいいよ」

タビビトは、泣いてた

赤くなった空も、泣いてた

真っ赤な花も、哀しくて泣いてた

哀しくて、泣いてた


哀しくて、泣いてるよ





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