オレンジの場所


もう夏も本格的
今日は7月20日。
久しぶりに外でバカ騒ぎとかしてたらほんとに ほんとにイキナリ
空が 大号泣。

「お前んち、泊まるなんて久しぶり。マジで」
「ね。10年振りとかじゃん。今15で、小学校前が最後くらいだよなぁ」
「どうするよ、もうジュケンセイだよ。」
「早いよな。……。…もう12時になる?」
「え、うん、えと、あとねぇ、4…分、くらい。かな」
「そか。…じゃあ、4分間でためになるお話をしましょウ」
「ねぇ、似てないよ?」
「いいからっ。4分後、明日の話。7月21日の話。
ほれ、空見て。星きれいじゃね?…あの、オレンジ、つかみかん色みたいな星見える?
おめえ眼ェ悪ぃから」
「…うん、わかった。あの、あれだべ?あっちのあれ。見えるよ。」
見えるよ。

4分後、7月21日の明日の話、それはこんな内容、こんな会話でした。


明日、な、あのオレンジが生まれた日なんだってさ。

あの、星?

そう。あの星の誕生日。だから明日はあの星に住んでるやつらがお祭りやんだって。
あの星に、どんなやつらが住んでるかっていうと、例えば、殴られて怪我した奴とか、
誰かに殺されたはずの奴とか、そういう、いわゆる、『被害者』ばっかが集まって住んでて。
だから、そういう奴ばっかだから、みんな傷だらけなの。けど、そこに居る人達は助け合って暮らしてるから、
みんな、笑ってんの。笑顔なの。
で、その笑顔っていうのが、黄色く、明るく光って見えんの。
んで、みんな傷だらけでしょ。だから、その傷がきれいに、宝石みたいに、赤く光ってんだって。
そんでその光が集まって、たくさん、集まって、あんなきれーなオレンジになってんだって。
傷が光ってんだよ。ほんとに痛々しい傷なんだよ。でも、それが宝石みたいなんだって、すごくない?

…うん。いいね。

…うん。んでね、そこに住んでる人はみんな違う種類の人だから、喋る言葉も違って、お互いのことよくわかってるわけでもないの。
コミュニケーション取れないでしょ。普段は身振り手振りとかでも全然楽しく過ごせんのかもしれないけど、
お祭りとかいってもなんもやれることもないじゃん、特に。

…うん。違う種類の人じゃね。

ね、だから、お祭りって言って何するかっていうと、唄、唄うんだって。デカイ声で、みんなで。
怪我とかで喋れない奴もいるんだって。けど、喋れ、喋れなくともね、唄、唄うんだって。聞こえない唄だよ。

………。

それでみんな笑顔になれんの。怪我してても、お互い良くわかんなくとも、みんな、なんかの『被害者』でも、
手繋いで、デカイ声で唄唄うだけでさ。それだけで。それだけで、泣いたまんまの奴らも、笑ってんだって。
そういう、星、なんだってさ、あのオレンジの星。
それが明日、もう、あと1分後くらい?の、何年か前の明日に、生まれたんだって。
おしまいっ。


「…そこ、行きたいな。相手のことなんも知らなくても、傷痛くてもそれが宝石んなって笑ってんなんて、すごいな。
優しいな。」

「ごーおーよーんさーん」

「…は?シンミリしてんですけどこっちは」

「にーいーいーちいー」

「…あ」

「ぜろ。 誕生日、おめでと」






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