あのころといまの空のいろ


確かあのころは、そこの角曲がって走るだけでどきどきしたのに。
そんでちょっと前は、今年こそって思いながら過ごしてきたのに。
そんで今は、いまは …いまって、なんか中途半端で、よくわかんない。

「あついなぁ…」
大きい窓を全開にして、畳の上にねっころがってる。
風はたまに吹いても、熱い風で気持ちよくも何ともない。
ただその風で風鈴だけ、小さく音を立ててる。
毎年同じ、そんな夏の空気。
ねっころがったままちょっと移動して扇風機のスイッチを押した。
「じっどべづぶっでずっどがんじだがぜ ばびどをぐぐるぜびーのーごーえー」
扇風機の前、小さいこえでいつも聞いてるすきなうたをうたってみる。
くっついてた前髪がちょっと後ろに流れる。
つまんなくて外に出てみたらせみのこえが大きく聞こえる。
短パンのこどもが3人、変な形のバッグを持って、でかい声で騒ぎながら前を通り過ぎた。
小学校のプールに行くみたいだった。
別にあてもなく左へ歩いたら古っぽい自販機があったから、110円入れてよくわかんない
サイダーみたいなジュースを買う。
タブを空けて口をつけてちょっと首を上げて飲んだらすっごく青い空と飛行機が見えた。
なんかわかんないジュースを飲みながら色んな人とすれ違って、いつのまにか土手まで歩いてきてた。
今年の夏はいいことあるかもって期待してたちょっと前の今頃のことをふっと思い出す。
それと、さっき騒ぎながら走って通り過ぎてったこどものことも。
ついさっき見た飛行機は雲もない真っ青の空に白く線を引いてた。
土手のはしっこに寝てみると、裸足の足とか耳の横とかにも緑の草が触ってくすぐったい。
白い太陽が眩しくて目を閉じると草が触ってる感じとかせみのこえとか眩しい太陽の名残の、まぶたの上のオレンジとか
そんなもんしか感じなくなる。
どんくらいたったのかわかんないけど
目を開けてみるとさっきの飛行機はどっかに飛んでってた。
家に帰ってテレビを何気なくつけると、今の気温とか今日の夜は熱帯夜ですとか
そんなことをキャスターが喋ってる。
今 いま あいつを呼んだらきっと水色のアイスを買ってすぐうちに来てくれるんじゃないかなとか
ちょっと思った。



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送