マイナスとその裏側のメッセージ


「ねぇ、待ってよ。やっぱりこんなの、やめようよ。もしバレたら、
わたし達死刑になっちゃうかもしれないのよ」
「だからお前、こいつウザくなかったのかよ?こんなやつのために俺達の人生
めちゃくちゃにされてんだぞ?こんなクズ、どうなったっていいじゃねぇかよ」
「けど、さ…やっぱり、こんなことは…常識外れだよ。
…っさ、さつじん…なんて」
「上手く家の中に入れたんだぞ。しかも外は真夜中の雨。バレねえって。」

外は真夜中で雨。
ここは男の洋館。
そこに2人男と女。
男はナイフを持ち、女はそれを見つめる。
暗い中、小声で話すその内容は黒。
外は真夜中で雨。
暗い中、小声で話すその内容は黒。
男はナイフを持ち、赤い水を飛ばす。
外は真夜中で雨。
暗い中、小声で話すその内容は黒。
男はナイフを持ち、赤い水を飛ばす。
黒と、赤
幸せの色なんて、ここにも先にも、どこにも 無イ
暗い中、小声で話すその内容は黒。
男はナイフを持ち、赤い水を飛ばす。
外は真夜中で雨。ここは男の洋館。
洋館の高い塔の上、男と女。
白くて鋭い光が塔の上に、降る。
真夜中の外、冷たい雨、赤い血、鋭い稲妻、転がる3つの残骸。
幸せの色なんて、ここにも先にも、どこにも 無い。


〔ここは どこ?〕
確かにそう言ったはずなのに、自分の声が聞こえなかった。
〔どうして、わたしは…。こんなところに…ひとりで、いるの?〕
今まで倒れていた床だと思っていたものは泥の沼だった。
自分でもどうしてよく確かめもせずに床だと思っていたのかわからない。
当たり前だと思っていたのか、それとも自分の性格が根本的におかしいのか。
それとも、わたしは昔からこうだったの?
問い掛けたら答えてくれる自分の中のわたしが、何も答えない。
いつも隣に居た貴方も居ない。
…そうか、いつも感じてたことは間違ってた。何度も、そう思って嘆いてきたことは間違ってた。
これが、本当の、孤独 か。
やけに落ち着いている自分にほんの少し恐ろしさを感じたが、すぐに消えた。
そのまま座っていたら泥に吸い込まれて溺れそうだと思ったので、彼女はすぐに立ち上がった。
身体が重い。
何かが身体をピッタリ包んでちっとも離れない。
それはありとあらゆる負の感情。マイナスの感情。言うなら、ここはマイナスの世界。
そんな世界を司る者の声がする。その声に、導かれるまま泥の道を歩いた。
マイナスの言葉に操られるまま行く彼女はもうマイナスの世界の住人だった。
不思議なことに、彼女が歩く地面の1m四方だけが歩くたびに泥で覆われていった。
泥があふれ出る。その黒さに、暗い世界にいる彼女は気付かない。
もう今では、自分の名前すら、忘れた。
〔ここは どこ?〕
確かにそう言ったはずなのに、自分の声が聞こえなかった。
〔あれ…俺は、確か塔の上で、やっとアイツを刺し殺せた時だった筈…〕
彼も彼女と同じように立ち上がり、歩き出した。
そして彼も彼女と同じように歩くたびに泥が道にあふれ出た。
到底、暗い世界にいる彼は気付かなかったし、声に導かれていることにも気付かなかった。
〔なんか、 イタイ〕
自分の身体のどこかが痛かったが、鏡も無いし、傷を確かめることもできない。
自然と腕は前に差し出されたまま上がらない。上げようとすると肩の骨が大きく軋む。
まるで限界を超えた機械のように、重く錆び付いた鉄のように。
痛みは感じなかったが、軋む音がやけに気持ち悪くて腕を動かそうとするのをやめた。
体に触れて傷を確認することも、できない。
ふと彼は気付いた。痛みの、正体に。
〔なんだ、口の両側の傷だ。なんで気付かなかったんだろ?そんなの、いつものことなのに。
あれ?そうだっけ。〕
自分の中の自分が少しだけ声を荒げた。でも口の痛みと身体の重み、導かれる低い声にすぐに掻き消された。
〔あれ…人?だ〕
自分の歩く道の少し遠くの右側。確かに人の影が見える。
足は自然と機械のように同じリズムで歩きつづけ、
その脳も「情報を得るため声をかける」という機能を忘れていた。
ふいにその人が笑った。少し遠くにいるのに声だけはやけに大きく頭の中に響いた。
『ねぇ、見てよトミィ。何かなぁあれ。新しいひとかなぁ。アハハ、変なカッコウ。』
『エディ、放っておこうよ。僕達に泥がついたら大変だよ?』
『そうだねトミィ。このあたしの綺麗な身体に泥がついたら落ちないものね』
『そうそう。僕達は、いつでも正しいことしかしないんだ』
〔俺が変なの?わかんねえ。…これ、涙?俺のことなんだ。俺、今、悲しいんだ。
なんなんだよあいつら。ここはどこだっけ? ……もう、いいや。わかんないから〕
もう今では、自分の名前すら、忘れた。

生きているうちの全てはそこに居る神に動かされて
ここに居るうちの全ては僕が君達を動かしてるよ
ここに居る僕は僕自身が僕自身をとても解っているし
君達がどこに行くべきかも全部解ってるんだ
もちろん君達がどこで泣くかとか狂うかとかそういう道も全部
それで僕自身が削られることはどうでもいいことだから
ここに居るうちの全ては僕が君達を動かしてるよ

ここに来たばかりの君達にまずすることは
名前をやることなんかじゃない
自分の名前ぐらい自分で見つけるための道へ導くこと
あくまで君達の道はもう用意されてるんだからね

君達はもう少し闘うべきだよ
こんな暗い場所で
本来光の下で闘うべきことを君達はやってこなかったんだから
君達はもう少し闘うべきだよ
そうしていつか自分の名前を暗いここで泥と血の中から見分けられたら
きっとトミィとエディのように最高の唄を唄えるようになるから
君達はもう少し闘うべきだよ



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