それでも
きみのことがすきなんて。
それでも いつでも
みんなには笑顔
だから いつでも
真っ黒に強がりを塗った
負け猫。




真っ黒だったオレンジの虹猫




これ ちっともわかんない。
どうしよう。きこう。
「ね、問2の(3)ってわかった?」
プリントと赤いノートを持って、後ろのクラスメイトに質問。
するふりをしてちゃっかりノートの答えを盗み見る。
「あーそれ、サチもわかんないー?あたしも自身ないんだけど普通に因数分解して解いたよー」
「ああそっか、そうだよね、ありがとー」
答えさえ解れば、やり方なんかどうでもいい。
ただ指名された場合答えられないのが嫌なだけ。
やり方なんか テスト前に徹夜すれば良い。
適当に問題を解いてる間 きみは1列隣でケータイを弄る。
授業中普通に着メロが鳴る。先生の注意も軽くあしらって反省しない。
アタシは生徒会のメンバーだから 見て見ぬふりなんか いけないんだけど。
しかも生徒会なんて 頭が良いのがお約束だし こんな偽装も する人いないんだけど。
しかもしかも生徒会なんて 高校受験のための内申点目当て なんて いけないんだけど。
一生懸命 学年の向上 それが目的なんだけど。
それなのに だらしないワイシャツとセーターと ボタンをとめないブレザーと
前髪長いくせに金色に染まった髪の毛に 心は奪われて 鼓動の速度は 一向に落ち着かない。


あぁ また こいつからのメール。
いい加減に ウザイ。
『でぃぁ由弘→ぁろぁろ★☆ゅりだょ・今ヒマなのぉぉ。。(-0-)慰めれぇぇぃ(>_<)←ふろむゅり♪』
顔写真つきのメール。アドレスを開くと 見分けのつかないケバイ顔。
ヒマだったから 返事は返してやった。
『こっちは授業中だよぉ。てかゆりあれから男できないの?』
『なんでそゅこときくのっ(`0' )/ょしがゅりのヵれになってくれゅぅ??(^3^)/=・』
ぶっちゃけ ウザさ限界だった。
なんかみんなやってるから メルかの とか チャかの とか。
常に暇だし 別にやることもなかったし …うん だからやってたけど
思ったより おもしろくもない。
だけど目の前の数学のプリント やるよりかは多分マシだし 全然わかんないし 
…やっぱり 右隣 に めが …いっちゃうっていうのが 事実だし。
こんなんで高校行けんのかなあとか思うけど めんどいことはやだし
いってもいかんくても かわんなそうだし どうせ
髪ひたすら染めてたら金髪までんなっちゃって このへんのアタマとか呼ばれちゃって
それでもやっぱ右 隣のマジメチャンに目がいっちゃうってのが 事実なもんだから
それはぽじしょん的にアレなわけだし  ゆりにはやっぱ適当に 『いいよ』 って 返事返した。


くだらない授業が終わった。
アタシはしたいことするために義務教育してるけど
しかもマジメチャンな生徒会とかしちゃってるけど
この日常が おもしろいわけなんかじゃない。
愛想笑いも 普通にできるようになったわけだし。
ただ今は この現実が よく分からない。
夕日のせいでオレンジに染まったコンクリの道を歩いていて
なんで隣に金色頭のアイツがいるのか。


くだらない授業が終わった。
いつも適当に普通にかわして遊んでやっと15歳になったけど
高校行けんかは微妙で でも親はさんざんうるさくて バカで
女は男が守るために喧嘩には勝てって そんくらいしか守ってないんだけど
いつのまにかこのへんの頭になって ビビられたりしちゃって
いつでもなんでも適当なのに 今の帰り道はぜんぜん分からない。
夕日のせいでオレンジが凄い このコンクリの道で足を引きずって
なんで隣に日常の悩みのもとのアイツがいるのか。


心臓の音がうるさくて もうオレンジ色をひたすら見つめるしかない。


家が近いのは知ってたけど 帰り時間が重なることはなかったのに。
なんか 喋ったりした方が良いのかな。
だって明らかにアタシに気付いてるわけだし。
ここでコクっちゃうとか?いやいやできるわけないしそんなん。
兄ちゃんに話しかけられたら嬉しいかとかきいとけばよかった。
もうどっしよう、とりあえず、心臓、落ち着いて。


家が近いってのはなんとなく知ってたけど 一緒に帰るなんかなかったのに。
無言でも、いいよなぁ。てか俺のこと気付いてんのかもわかんないし。
なんでこんな動揺しちゃってんだろ俺。
三野柔学区のカシラはぷれいぼーいなはずなんだけど。
いやいやそれにしてもコイツ背えちっこいっつの。
あーどっすりゃいーの。とりあえず、心臓、落ち着け。


結局 無言だったけど
もともと彼氏になりたいわけじゃないし
別に良いよね やっぱちょっと嬉しかったけど。
それにしてもユッカは可愛いなあ。主役、適任だやね。
アタシは良いんだ、万年裏方で。
…それにしても、お母さん 大丈夫かなぁ。
昨日会ったら ますます痩せてた。
…………いやだよ。


「オイ由っ捕まれよっ」
「やっだねしつけえよおめえっ敏が捕まれっ」
「みんな、ありがとう!わたし、病気に負けないで、精一杯生きるわ!」
ユキカの声がうるさい。文化祭の練習。なんの劇かよくわかんない。
体育館で鬼ごっこすんのはやっぱ楽しいし
昨日のことは もう抹消した。
アイツの役は…、 なんか照明?っぽい。
…あぁまただ。いーの、もう、抹消。


家に帰ったら珍しくお父さんが帰ってて
珍しく一緒に病院に行った。
お母さんは お見舞いに行ってる間に 容態が急変して
数時間後 死んだ。


家に帰ると同時にゆりからメールがきて
内容は会おうってやつで
会ったら俺がボコした佐野川学区のアタマだった。ゆりに はめられた。
口ん中 おもっきし切れた。


次の日は 金曜日だったけど お葬式で学校を休んだ。


次の日は いつもみたく無断で休んだけど 理由はダルいからじゃなかった。


アイツはけがして休んだってユッカから聞いた。


アイツは母親死んで休んだって敏之が言ってた。


なんで、アタシに教えんのって すごい思った。


なんで俺にわざわざ教えんのってあとで思った。


なんか心配になった。


会いたく なった。


15日の日曜日 お葬式もお通夜も 一通り終わって疲れたけど 大好きな川んとこに行った。
これからは、アタシがしっかりしなきゃなんない。
お弁当も洗濯も買い物も ちゃんと自分ひとりでしなきゃなんない。
しっかりしなきゃ。しっかりしなきゃ。
そしたら多分忙しくなって いっぱいいっぱいになっちゃって
この川んとこには多分しばらく 来れなくなるだろう。
しっかり しっかりしなきゃ。


15日のサンデイ(曜日これしかわかんない) 腹と足が痛かったけど
水道ひねったら断水で困った。
とりあえずしっかり傷洗いたくて思い付いて
きれいな川んとこに行った。
歩くたびに腹が痛い。ちょっとなんか ひどそうでやだ。
ちゃんとなおさなきゃ。親に言ったらきっと怒鳴られるしまた殴られることもありえるし
病院行く金なんかないけど カツアゲする気分にもなれなかった。
でも痛い。どうにか しなきゃ。


しっかりしなきゃなんない。たくさんやることがある。


しっかりしなきゃなんない。たくさんひどいことした。


これからは ひとりでやんなきゃなんない。


 
所詮これからも ずっとひとりでいるんだ。


あぁ いつもみんなと オレンジ色の中で笑っていた 君の顔が


見たい。


「あ れ …。」
思わず 声が 出た。
だってまさか ここにいるなんて。


「な …っにしてんの…。」
泣きそうになってたとこにあらわれたモンだから 焦った焦った。
急いで普通の声を取り繕う。
痛そうすぎる 顔の痣に ビビった。


「…いや こっちの 台詞…」
こんな いかにも喧嘩負けちゃいました みたいなときに
しかもこんなとこで あっちゃうなん て 情けなぁ…。
けど すっごい 泣きそうな顔に ビビった。


「担任から きかなかった?…ウチ お母さん 死んじゃった の」
「あ …うん 敏ゆ …天野に きーた。…。」
「あ そ…。やっぱ 知ってた んだ。…ぅん。」

そんな 泣きそうな顔 しないでほしいんだけど。

「だいじょ ぶ …?」

なんでそんな やさしい ことば かけないでほしいんだけど。
だって 泣きそうに なる。

「…だいじょ ぶじゃ ないよ ぉ…っ」
「…ぅん だよ ね」
「だ…って これから ひとり…だよ ずっと…ひとりで …なんでも…っやんなきゃ…っ」
気付けば アイツの黒いTシャツを 握りしめて泣いてた。

「…うん」
こっちまで なんか泣きそうになった。
理性 飛びそう とかより 心臓が痛かった。
アイツにTシャツ掴まれて濡れたけど そのまま 抱きしめちゃいたかった。
迷ったから 言ってみた。

「…こんな 状況で言うの おかしいんだけど。」
「………っ…ぅん…?」
「けっこう 前から 好きだっ…た。…の ね。」
「………うぇ…っ、」
「だ から…、だっ だきしめちゃいたい んだけど…、い っかな」
涙は止まんなかったけど 一瞬息が止まった。
「…いいよ。」

本当におかしいと思った。
この状況はいったいなんなのか。
いつもいつも見つければ楽しそうだったのに
バカみたく友達と笑ってたのに
この状況はいったいなんなのか。

常に元気だった こいつが めちゃめちゃ女の子ぽく 声出してぼろぼろ泣いてる。
そしてそいつを 腹痛いのに 思いっきり抱きしめてる 俺。

常に元気だった こいつが あきらかにボコボコんなって 顔を歪めてる。
そしてそいつに 思いっきり泣きながら身体預けて 抱きしめられちゃってる アタシ。

なんで こんな展開に。…わけ わかんない。

「…も だいじょぶ?」
「…ぅん てか そっちこそ。」
「あ…うん けっこ 痛い。んだよ ね」
「どしたの…。…、てか とっ とりあえず 離れよ…」
「んー…、ぅいって…ぇぃ〜っ…」
「だっだいじょぶ!?…腹?てかなに けんか …とか?」
「…っうん 。負け ちゃっ た …。 …へへ」
「…うそ 強い のに。」
「けど 俺が …悪かったから。」
「…そぉ、なんだ。…なんで こんなとこにきたの?びょーいんは?」
「…きょう だんすい で。」
「え、あぁ、うん、そだよね。…?」
「腹、の けが、洗いに、きた。…」
「あっ、そう、なんだ。…じゃ、あたし、向こう行っとく。」
「いいよ、別に 居ても。」
「っけど」
「居てよ。」
「…っ、」
「ね。」
立ちかけたときに掴まれた手首はアタシがそこに座り直すまでほどけなかった。
さっきと同じように土手に体育座りすると、手首は解放されて アイツは靴を脱いだ。
「ん。持ってて。」
「…わかった。」
置いとけば良いじゃんと思いながらも受け取ってしまったのは
素足の白さと細さにどきどきしてしまって 考えることが一瞬止まってしまったから。
…それと なんだか コイツも 寂しいのかなぁと 思ったから。
「…あのさぁ」
じゃぶじゃぶと川に入っていって少し遠くなった背中に向かって話しかける。
何か話していないと間が持ちそうになかった。
「んーー?」
黒いTシャツの背中から声が返ってくる。
ぱしゃぱしゃと水音が混じる。
「…つっ つきあお っか。」
顔があかくなって声が震えるのを自覚する。よけいに恥ずかしくなった。
「……ぅん」
少し笑いながら首だけ振り返った顔は今まで見たことがなかった。
驚いた。
「…っじゃあさーっ」
「んーー?」
「…なんて…呼べば いい…?」
「…ヨシ」
「……」
「か、ヒロ。」
「…わかった。」
「サチ」
「はい」
「で いい。かな」
「いいよ。」
いつのまにか川から戻ってきて アタシは反射的に靴を手渡した。
「どおも」
「いいえ。…あのさぁ」
「なに」
「がっこで カミングアウト…する?」
「んー…しない。」
「…そぉ。」
  「別に 今さら …ぽじしょんとか どっちでもいいんだけど さぁ…」
「…アタシはしないほうがやりにくくなんなくていーけどさ?」
「うん そうだろう し なんつか ふたり のときだけで …良くね?」
まだ体育座りしていたアタシに 手がのばされた。
手首を今度は やわく掴まれて 立った。
「…そうだ ね。…へへ」
「なに」
「はずかしィ〜っ とか 思っ て。」
「…ばか。」
「なんで!」
「うそ」
「なにそれ!」
「がっこより ぜんぜん。」
「はっ?」
「可愛い。」
笑えて 居たのかもしれないと 思った。
「…ばか」
「俺がっ?褒めたのに」
「そっちこそかっこいーんだよこの金髪め色男っ」
笑えて 居たのかもしれないと 思った。

真っ黒に強がりを塗った負け猫
真っ黒に嘘を塗った偽猫
これからも真っ黒を塗った負け猫
だけどほんとうは真っ黒を剥がした猫
ふたりで真っ黒を剥がす猫
これからは真っ黒を剥がせる猫
オレンジの笑顔を乗っけた虹猫
オレンジの笑顔を乗っけた虹猫
ふたりは虹色 オレンジの笑顔を乗っけた嘘の黒猫
ふたりは虹色 オレンジの笑顔を乗っけた嘘の黒猫

笑ってやれ
これからも。

笑ってやれ
これからも
虹を見るために






アフターワード。

なんじゃこりゃ…(第一声)
なぁんかねぇ、萌えれて、(そこかよ)それよりも、なんか
初々しいっていうか初恋っていうかaikoみたいな雰囲気がでるかわいーい話が
かきたかった んだけど…
玉☆砕☆
もう後半萌えばかりに移ってしまってかなり無理矢理感もかもし出ておりますね。
けど寂しさだとかはまあいいかなと思います。ベタだけど。
ひとりとひとり、っていう設定の恋物語みたいなものはどうしても大好きなのででますね。でてんのか。しらん。
赤が似合う女の子と金髪の男がお互いひとりを実感しながら一緒に居たら、まあなんてきれいなオレンジなの、っていうのをaiko調の雰囲気で表したかったんです。よ。
無駄に長いくせに薄いしなあ。内容。
しかも男の名前由弘って…なんて安易。
読んでくれてすみません。何。ここまで。ありがとうございましたほんとに。

この行色かえ、すぅごい疲れた。時間の無駄…
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