チカミカ























きみのことばはわからなかったけど、
とびらのまえにたってたきみのことは、
なぜか、わかったんだ。
「cfμωΦЙg$βφжШЫdk?」
うん、

なぜか、きみのことは わかったんだよ。


きみはちゃんと日本人のかおをしているのに日本語もちゅうごくごもしゃべらない。
うん、それに、ちゃんと目も口もはなも、歯もあるし。
…へんだなあとおもったのは、ももいろのみじかいかみのけとひとみをしてる。
あと、ふらんすじんよりまっしろい、肌で、ちゃいろのぼろいワンピースをひきずって、
ちゃいろとかくろじゃない、ももいろのくまのぬいぐるみを片手にぶらさげてたことだ。

それいがいは、きみはふつうに僕のともだちで、


きみとあったこといがいは、そのひもふつうのひだったんだ。





きみのめでこのはいいろのまちをみたらせかいはももいろにうつるんだろうか。




<place246-B no4 f-mika>
<プレイス246ーB ナンバー4 フジワラ−ミカ>
僕んちは246番地B区の、第4番マンホールのしただ。
そのひはでんきゅうがきれそうで困ったから、ひかりのつくものを
いただきにいこうとおもってはしごをのぼってマンホールのとびらをあけたんだ。
そしたらきみがたってマンホールのなかの僕んちを覗きこんでた。
そんで、なんかしゃべった。
「cfμωΦЙg$βφжШЫdk?」

しょうじき、びっくりしたよ。
きいたことないことばだったから。
はつおんも僕にはできそうになかったし。

けどこのへんは、あぶないんだ。
地上でデンジャーガードすらしないでことばをしゃべったら、
すぐに夢腐食蟻どもがあつまってきて、なみだのすみまでほじくられる。
まだなんか喋ってるきみのうでをおもわずなかにひっぱった。
「はやく、おいで!」
そのときおどろいたのは、つかんだきみのうでがどくどくしてなかったことだ。

マンホールのとびらをしめてから、いまひかりがなかったことを思い出した。
「ごめんね、今、ひかりがきれかかってて、チカチカしてるんだけど」
そういってせのびしてはだか電球のヒモをひいた。
「o{θЛЙфkбチカдЪΨξ??」
つったってるきみのまえにたって、まゆをひそめてすこしでもききとろうとした。
「ンッ?もっかい、言って。再言、再言。ワンモア、プリーズ。」
りかいできることばがないかとおもって、いろんな区ニのことばでいってみたら、
ゆっくりもっかいいってくれた。
「o{θ、ЛЙфkб、チカ、дЪΨξ??」
はだか電球をゆびさしてみせながらまばたきをたくさんするきみのことがすこしわかったきがしたんだ。
きっとこのひかりがチカチカしてることをしゃべったんだ。
だってきみのかおはめちゃめちゃわらってる。
そのえがおもみたことなくて、僕も思わずわらった。

きみのなまえは、このひから チカ ってよぶことにした。


それからチカは僕んちですこしくらした。
チカをあらためてよくみたら、せなかにしょったリュックのなかには
みたことない、ちいさいしかくとほにゅうびんがいっぽんしかはいってなくて、
ここにいるりゆうも、チカがなんなのかも、なにもわかんなかった。
でもすこしくらすうちにどうでもよくなってきたんだけど。
とりあえずデンジャーガードもセ光ファイバーも歩行キットももってないチカは
あぶないから、僕がまもってやんなきゃとおもうとすこしたいようがみれた。

あるひ、僕がひろってきたきれいなももいろのセ光ファイバーのかけらで、
はだか電球のかさをつくってたときだった。
チカはずっとももいろのくまをうごかしたりたおしたりしてたけど、
いきなりこっちにあるいてきて、僕とおなじほうこうをむくかたちで
僕のうでのなかにすわった。
そのまま体重かけてももいろのくまとあそんでいた。
やっぱりせなかはどくどくしてなかったけどあったかかったから、
僕もそのまま、かさが半分みえなくなったけど、チカの胸のまえでかさをつくるのをつづけた。

はだか電球でいいとおもってたけど、ももいろのセ光ファイバーでかさをつくったのは、
きっとチカがよろこぶとおもったからだ。

チカはそれからよく、僕のうでのなかにすわりたがるようになった。
ほとんど、かいわはない。
なんせチカのことばはなんにちくらしてもぜんぜんわからない。
だけどチカが僕のまえにすわってるとき、ときどきけんかみたくなる。
僕がいっしょうけんめいなにかをしてるのにでかいこえではなしかけてくると、
僕とチカのしんちょうさはあまりないから頭がじゃまだしじたばたするし、
いらいらして僕はすこしおこるんだ。
するとチカはうるさく叫びながらせなかをおもいきりなんどもぶつけて体重をかけてくる。
むししてさぎょうをつづけて、いつのまにかチカのねいきがきこえると、
僕はチカにもうふをかけるんだ。
それで、けんかみたいなことはすぐおしまいになる。

うん、そう。
チカのことは、なんかわかったんだよ。
どくどくしない、あったかいせなかをあずけてさ、
なんか、チカがわかるんだよ。

僕はチカのことがわかるんだよ。

またあるひ、やっとセ光ファイバーのかけらでつくったももいろのでんきゅうのかさができた。
それはでんきゅうのかさにはあまりにもおおきすぎたけど、
セ光ファイバーはかるいし、
これをでんきゅうにかぶせたらきっとももいろのひかりがおっきーくひろがるだろう。
しゅうちゅうしてたせいか、いつのまにかももいろのくまのぬいぐるみとあそんでたチカのけはいが、
なくなってることにきがつくのにとても時間がかかった。
「チカ?」
ももいろのかさをもって、せまいへやのしゅういをみわたす。
マンホールのとびらがあいてて、はしごのところに円形に、すこしだけつきのひかりがてっていた。
そのはしごのましたに、チカがいつもぶらさげてるももいろのくまのぬいぐるみが、
おっこってたのではなくて、つったっていた。
まるで、いきてるようにつったって、マンホールのとびらのむこうをみつめてた。
「…チカ、でていったの?」
ももいろのくまのぬいぐるみはなにもしゃべらなかった。
あわててとびだそうとして、もうひとつきがついた。とってもヤバいことを。
僕のデンジャーがードの有効期限の666日は、46時間まえにきれてたんだ。
しゅうちゅうしてかさをつくってたせいで、警告ランプのひかりにもきづかなかった。
だけどチカは、デンジャーガードをしないでそとにでてった。
ドリ食いたちは、チカみたいのがだいこうぶつなのに。
「チカ!」
僕はへやのすみで風化してるデンジャーガードをむしして、はしごを2歩でのぼってじめんにたった。
ももいろのでんきゅうのかさをデンジャーガードみたくかおのまえにかまえてまわりをさがした。





せかいがももいろにみえた。





「チカアーー!」
さけびながらはっとしてあしもとをみると、ドリ食いたちのしゅうだんとぼくのめがあった。
ヤバい、とおもうまえに、僕のてくびをまっしろいてくびがつかんだ。
そして、風よりもずっとはやく、きっとひかりとおなじくらいのはやさで、
僕のてくびをつかんだまま、しろいてくびのもちぬし チカははしりだした。

まわりのせかいがチカのかみのけのいろとまじって、ももいろにちらちらとながれた。


「vk(@>ЮЙж┝ξΞΘ!?」
「えっ!?」
「vk(@>ЮЙж┝ξΞΘ!?」
「チカ、ぜんぜん、きこえない!」
「vk(@>ЮЙж┝ξΞΘ!?」
「なんではしってるの!?チカ!」
「vk(@>ЮЙж┝ξΞΘ!?」
「…チカ、わかんないよ!うちに、かえんないの!?」
「vk(@>ЮЙж┝ξΞΘ!?」
「チカっ!」
「vk(@>ЮЙж┝ξΞΘ!?」
「チカ!」



























チカ。






























―――………―。



















『ふねは、できたの?』

















 ――……―。





『できたよ 僕とチカの ―――      』





































音は、ひとつもきこえない。



チカは、僕の手にもったももいろのふねをみて、わらった。

そのとき、チカのからだじゅうにはしる、けつえきをみたんだ。
チカの、けつえき。
ももいろだった。


チカは僕の手からももいろのふねをとって、つまさきでトンと飛んだ。
僕のてくびをつかんだままうしろにひきよせて、
ももいろのふねにのっかった。
いつもみたく、チカが僕のまえにすわって。

ももいろのふねはうかんでたんだ。
じめんすれすれに、ひかりとおなじくらいのはやさで、まわりのけしきをももいろにそめながら。

「チカっとんでるよ!」



―――――――『とんでるよ。』



―――『どこにいくの?』

―――『ひかりをいただきにいくんだ。』

―――『それって、僕んちの?』

―――『ううん、ミカの。』

―――『…僕、の?』

―――『だってふねをつくったからね。』

―――『…これ?』

―――『だからミカには きれいなひかりの


こころをあげるよ。 』




チカと僕ののったふねはいきなり上昇してはいいろのせかいはこんいろのせかいにかわった。
すぐよこをももいろのたくさんの流星がながれた。
「ほしだ……」
「бЩЙq"^υλΓιε?」
「うん。きれいだね」

まるでももいろのまぶしいせかいにすいこまれていくようだった。
ひかりのまぶしさをかんじなくなってからはずっとももいろのほしをながめていた。
だけどまたひかりがまぶしくしろくかがやいていたからめをとじた。

チカは、いつものように僕のうでのなかに、僕のまえにすわっていて、ももいろのかみのけをゆらしてた。



『チカはそれでもう還るよ。』
『うん、わかった。僕、こんどはチカんち行くよ。チカも、またきてね。』
『うん』
『ぜったい、チカんち、行くからね。』
『待ってる。』






待ってる。













それから僕のこのせかいはももいろのかさがなくてもとてもかがやいていた。
デンジャーガードは風化した。ドリ食いはまだいるんだろうけど、まったくみかけなくなった。
なんどもなんどもねむればチカのゆめをみたんだ。
なんどもなんどもチカは僕んちにきたし 僕はチカんちにいった。

それからもいつものようにチカは、僕のうでのなかに、ももいろのひかりとゆれながら、わらってたんだ。







































(どうでもいい)説明とちょっとのあとがき このはなしは夏海が前にかいた絵(ぼく、わたしの未来という名前。スキャナがつかえないのでアップ未定) の設定を時代背景にした子供ふたりの間のはなしです。 これが設定の絵はかなり夢の無い絵なので、宇宙人らしき「チカ」をだして、 まだ人間も多い時代にすこし設定の時を戻して、かわいらしい(?)はなしにしてみました。 絵もこの文も、かなりのお気に入りです。 もちろんぜんぶオリジナル設定のフィクションですが(あたり前!)。 あと、再言がもういっかい言っての意味にはきっとならないと思います。適当です。(…) ○この文(「チカミカ」)に出て来る時代設定と造語○ 時代設定・・・・・・・けっこう遠い未来。 半ドロイド文明(西暦2189年、最初に地下国家となった日本を中心とする、 近代国家による第四期高度成長の名称。後に7.5ドロイド文明へと成長する。) という発展のしかた。安全な場所は地下しかない。 宇宙人は地球からのメッセージを無視しつづけていることが判明。 宇宙旅行、火星移住はできないまま。 デンジャーガード・・・地上にでるとき、有害物質から目と皮膚、内臓を守るシート。            666日つかったらとりかえないと風化する。 区ニ・・・・・・・・・くに(国)。「区でわけられている町」の意味。 夢腐食蟻(ドリ食い)・地上にでるといる、人間の生気を食べる虫。            夢も食べてぬけがらにするため、この名前。            脳に住み着かれると幻覚を見るようになり、            やがてマイナスの世界往きとなってしまう。 セ光ファイバー・・・・恋人をつくるために背中に飾る電飾。            軽くてカラフルなほど高価で、            良い身分を示す。A〜ZSのランクづけがある。 歩行キット・・・・・・運動能力低下のため子ども以外はこれがないと歩けない。            A1A〜E3Cまでのランクづけがある。            組み立て簡単、プレゼントにも人気。            主に間接、筋肉のつなぎめなどに装着する。 警告ランプ・・・・・・デンジャーガードの風化危険度を光で知らすランプ。            0.3、0.5、0.7、1.0の段階があり、            1.0も点灯すると完全に風化がはじまる。 (この時代の)太陽・・オゾン層もなくなり赤外線は有害物質のかたまりでしかない。 ○ちなみに、この文(「チカミカ」)には出てこないけど、絵(「ぼく、わたしの未来」)には出て来る造語○ 半ドロイド・・・・・・機械のくみこまれた人間。 半ド・・・・・・・・・半ドロイドの略。 「これから、今から、人間やめます。」 ・・・・・・・・・・・まわりがみんな人間をすてて半ドになっていく中、            最後の最後まで人間にしがみついた人間が、人間をすてたときの言葉。 「みらいのぼく、わたし」 ・・・・・・・・・・・半ドのかく日々の記録。 day no.・・・・・・・半ドのかく日々の記録の日付け。 day no.200404220221・一番最後に半ドになった人間の、壊れた日付け。 半ドロイド文明、万歳!!! ・・・・・・・・・・・日々の記録の最後には必ず記録される1行。
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